校舎ブログ
【藤沢校】ねこホーダイはアリか、ナシか。
みなさん、こんにちは。
新セミ藤沢校、校長の柳田です。
おとといの火曜日、「ニュースの鬼~背景知識も入れておこう!」と題して、とあるニュース記事から社会背景を勉強したり、自分自身の意見を作り上げたりするというイベントを行ないました。
普段の授業前にも毎回その時々のニュースを10分間で取り上げ、知識の底上げを新セミ藤沢校では行なっています。
今回のイベントはいつもの拡大版なわけですが、今回題材にしたニュースは「ねこホーダイ」というサービスについてです。みなさん、このサービスは聞いたことありますか?
簡単にまとめると、どんな人でも月額380円で保護猫を譲り受けたり、飼えなくなった猫を保護してもらったりすることができるサービスです。
ただ、後ほど説明するような批判や反響もあったからなのか、先ほどのニュースでこのねこホーダイのサービスを停止することになってしまったようですね。
ともあれ、おとといのイベントではこのサービスについての反論記事を読んでもらったうえで、賛成派・反対派に分かれてディベート形式で意見を出し合ってもらいました。
みなさんは、「ねこホーダイ」のようなサービスはどのように思いますか?
おととい参加した高2生4人は全員反対派でしたので私が賛成派に回り、対決スタートです!
まず、反対派としては次のような意見の提示がありました。
【反対派】
・途中で病気になってしまった猫を返した場合、誰の責任になるのか不明確。
・「どんな人でもOK」というのは生き物を飼うことに対してハードルを下げることであり、責任感を持って飼わない人が出るというリスクもある。虐待も増えるのではないか?何らかの誓約書を必要とするべき。
・今流行りの「サブスク」と言えるようなお金が発生する業態に、命が関わるものでも利用してよいのか?
・一人暮らしで譲り受けた場合、飼い主に万が一のことがあったら猫も死んでしまうのではないか。
それぞれ良い視点ですね。
ただ、私(賛成派に回ったうえでの回答)はこのように切り返します。
【反対派に対し賛成派からの反論】
・途中で病気になってしまった猫を返した場合、誰の責任になるのか不明確。
→保護猫を社会全体で見ていくということを考えれば、運営側・利用者どちらにも責任がある。仮に病気になってしまった猫を返したとしても、運営側が責任をもって最期まで見ていくとすれば良いのではないか。そのためにボランティアではなく、利用料を徴収しているはず。
・「どんな人でもOK」というのは生き物を飼うことに対してハードルを下げることであり、責任感を持って飼わない人が出るというリスクもある。虐待も増えるのではないか?何らかの誓約書を必要とするべき。
→たしかに、責任感を持って生き物を飼うことは大切だし、責任を持って対応している多くの飼い主がいるのは事実だが、一方で、このような保護猫や捨て猫がたくさんいるということは、誓約書を書かせることだけで虐待や放棄などの問題が無くなるわけではないことを意味している。このサービスにより保護猫に関心を持ってもらうきっかけになるのであれば、むしろ保護猫や殺処分問題を解決する上ではプラスではないだろうか。責任感をより持たせるということであれば、利用金額をもう少し上げることにより、安易な気持ちで参加する人を減らすことができるのでは。
・今流行りの「サブスク」と言えるようなお金が発生する業態に、命が関わるものでも利用してよいのか?
→ペットショップなどを利用する場合などは、すでに命のやり取りにお金は発生している。むしろ、しっかりと管理することを考えるのであれば、お金が発生しないシステムこそ保護猫のためにならないのではないか。タダほど怖いものは無いというのは猫でも同じこと。
・一人暮らしで譲り受けた場合、飼い主に万が一のことがあったら猫も死んでしまうのではないか。
→飼い主に万が一のことがあったら…というのは、生き物をペットとして飼う場合にはどの場面でも問題となることで、「ねこホーダイ」に限ったことではない。ただ一案として、飼い主の健康確認などのサービスも追加することができれば、万が一という場合に外部からでも対応する余地があるのではないか。
世の中では今回のこの「ねこホーダイ」について、喧々諤々、賛否両論(どちらかというと否定派が多かった)あってどちらが正しいというような論調で意見が出ていたようですが、私は今回のイベントにおいて、どちらの意見が正しいのかということを伝えたかったのではありません。
自分の意見は持った上で、自分とは違う意見をしっかりと知っておくべきという目的がありました。
特に、看護医療系を目指すみなさんは多くの関係者の意見を調整する場面があります。
自分の意見が無いのも困るけど、自分の意見だけ押し通すのも信頼感に欠ける医療従事者として困ります。他者の意見を駆逐することや論破することが、看護医療系が求められている仕事ではないので。
だからこそ、受験で面接や小論文、志望理由書などで必要な資質を問われるわけですね。
そんな存在だからこそ、自分の意見を持つことはもちろん当たり前ですが、他者の視点にも立てるくらい視野を広くすることは大切なことなんです。
面接練習などで「私は患者に寄り添い…」とか「広い視野に立つことができる…」といった話をよく聞きますが、単なる口先だけではダメだということですよ!
さて、冒頭にもお伝えしたようにこの「ねこホーダイ」のサービスは利用停止となってしまったようですが、小さな命を守る活動としてはなかなか興味深いサービスだと私は思うのです。
もちろん、当初目論んでいたようなやり方では不備があるのは今回の「反対派」の意見からも明らかです。
改善すべき内容は多いと思いますし、何より、飼われる保護猫の立場(猫は環境の変化に弱いのです)も考えた取り組みでなければ、賛同者も増えないでしょう。命ある生き物を取り扱うからこそ、物と同じようなやり方や責任感が生まれないやり方では、このサービスが単なる「集金システム」でしかなくなってしまいます。それで良いのか?という倫理的なジレンマも生まれますよね。
でも、賛同する人(≒責任ある人間)に対して一定の負担もお願いしながら、今なお解決できていない動物の殺処分を少しでも減らしていくというビジョンは全否定されるべきものではありません。
このような問題に批判するだけではなく、みなさんがどのような答えを出せるのか、ぜひ挑んでみて下さい。
「ニュースの鬼~背景知識も入れておこう!」イベントは明日(12/30)の13時~14時でも開催しますので、まだ参加していないみなさんもぜひ来てみて下さい。
参加は下記リンクよりお願いします。
明日のイベントで扱うテーマは何にしようかなー。
(もう決まっているけどね!)